小学5年生の時、ビートルズのベスト盤を聴いて「俺、世界一になる!」と決めた少年は、以降、彼が「ビートル頭」と呼ぶ思考法によってお笑いとテレビの世界を変えてきた。少年の名は倉本美津留。放送作家であり、ミュージシャンでもある。齢53。未だ世界一を目指して突き進む姿勢は、小学5年生から変わっていないという。
ビートルズとの出会いの衝撃を倉本はこう語る。「それまで街で流れていて、誰が歌ってるんかわからんかったけど『ええな~』と思ってた曲が全部兄が借りてきた1枚のレコードに詰まってたんですよ。『なんなん、これ?』って感じでした」
ビートルズのアルバムを買うために小遣いを貯める日々。曲だけでなく、ビートルズメンバーの生い立ちや性格、彼らが成し得たことなどを知れば知るほど、彼らと同様、自分が凄い・モテる人間に「なれる」「なるんだ」との思いを強くしていった。
「異性に目覚めるのが早くて、幼稚園児の頃から女の子にモテることばっかり考えてました。モテる要素の一つに『おもろい』が大阪にはあるので、人が思いつかん、おもろいことを常に考えてましたね」
この「人が思いつかないこと」を発信し続けることこそ「ビートルズ的」だといい、それを実行している人は「ビートル頭」を使っているという。放送作家として、ミュージシャンとして、クリエイターとして、自らが生みだすものや、他人のアイデアを見る時の基準は「誰もやっていないことかどうか」だ。
「ビートルズの凄いところは、既存のものを壊す『革新』とスタンダードを生み出す『普遍』を並行してやっていたところです。しかも凄いスピードで。自らが生みだしたものを、次の作品では壊すような行動にでる。常に人を驚かせてたんですよ」
ビートルズを知り、ビートルズ的な人々と出会うことで見いだした『ビートル頭の法則』。本書には、その「法則とは何ぞや?」から倉本氏が実践してきた実例、また倉本氏が「この人『ビートル頭』使ってる」と思う人々との対談が収まっており、『ビートル頭』の理論から実践までを学ぶことができる。
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『ビートル頭』 倉本美津留氏
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