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『二流小説家-シリアリスト-』 上川隆也

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一流・二流に明確な線引きはない

「降って沸いたようなお話で、初めは半信半疑でした」と、初主演となる本作の依頼が来た時のことを振り返る。数々の舞台、テレビドラマで主演を務めた上川隆也だが、映画の主演は初めてだ。作品を選ぶ基準は、映画であれ、舞台であれ、テレビであれ、主演作品であれ、ジャンル問わず「面白がれるかどうか」。
 プライベートでも京極夏彦や綾辻行人といった新本格ミステリーを好んで読むという上川は、本作では台本よりも原作を先に読み、日本のミステリーとは違った味付けがなされた作品で、色彩が違うと感じたという。
 上川演じる赤羽(あかば)一兵は売れない小説家。母の名義で出版したライトノベルが唯一世に出た本で、現在は官能小説を雑誌に寄稿している。その赤羽に連続殺人犯で死刑囚の呉井大悟(武田真治)が「自分を主人公にした官能小説を書いて欲しい」と依頼してきたことから事件が始まる。
 台本から赤羽のキャラクターをなんとなく掴んでいたものの、それを決定づけたのは扮装(衣装)だったという。「自分の部屋にいる時以外は、極力まとっているものを脱ごうとしない。のど元までストールで自分を守っている男なんです。己と外界を隔て、世間との距離を取っている。タイトルの通り、赤羽は二流小説家で、社会から認められていません。社会からも自分からも働きかけのない人間とはどんな人間か。それを考えることが役を作る足がかりになりました」
 一流と二流では何が違うのか。そもそも一流とは何か。明確な答えを出すことは難しい問いかけに「相対的なものでしかない」と答える上川。「あるきっかけで認められた人が、認められていなかった過去の作品も含めて評価されることは多々あります。逆もまたあります。一流、二流に明確な線引きはありませんし、いつの時代も曖昧模糊としたものでしょうね」
 上川自身、対外的評価で芝居に対する核が揺らぐことはないという。「僕が芝居を続けている理由は『好きだから』。そこがぶれない限りはずっと続けていきます。褒められたい、誰かに認めてもらいたいとの思いが第一義になってくると、自分を前に進めようとする駆動力が損なわれる気がしています。己の中に何があるか。そこを大事にするべきかと思います」


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